見方・考え方を働かせる
公開日: 2020年6月18日木曜日
学校での授業が再開し,3週間が経とうとしています。これまでの理科室での過ごし方と少しずつ変えながらも,自然に熱中する子どもたちの姿が戻ってくるとうれしいものです。
今年度も理科部では「自ら問題を追究する理科学習」を研究テーマに掲げ,問題解決を自ら調整しながら,追究に没入していく学びを目指して教材や単元の開発,子どもたちが自ら学びを進めるための評価方法の開発などを行っていきます。
今年度から始まった新学習指導要領では,「見方・考え方を働かせる」ことがキーワードとして挙げられています。
理科の見方・考え方は働かせることで,自然事象の本質に近づくと捉えています。
5年生の学びで生まれた一場面を紹介します。
発芽の条件を考えていた時のこと。
空気は発芽に必要なのではないか?と一人の子が意見を述べました。
というのも,私が育てていたアサガオの種子は,水槽の中で水浸しの環境に置かれていて,全く発芽していないのを見たからです。
「水の中で息ができていない!」との指摘です。
ある子は,人も呼吸をしているじゃないですか?種子も呼吸できるように空気にさらされていないときっと生きられない。と人と植物との共通性の見方で話しています。
私たちに「生き物の共通性と多様性」というフィルターがあるからこそ,この発言に立ち止まります。
人と重ねて考えると生物のことがもっとよく見えてくる。
これは,今後の生命領域の中でも働かせていきたい見方です。
一つのキー概念として,人や動物,植物と重ねたり,比べたりしてみることが加わります。
ここで,でもね・・・と話し始める子が。
「私は家でカイワレ大根の種子を紙コップに落としちゃったんだけど,次の日,その中で根だか芽だかわからないけれど,出てきていたんだよね。」
ええっ!と驚く子どもたち。
「もしかしたら,植物によっては,空気がなくても発芽するものがあるのかも?」
ここで,多様性というフィルターがある子は立ち止まります。
「植物によって」違うことがあるかもしれない。
これらの子どもたちが発する言葉や概念を価値づけながら,見方・考え方を働かせる学びを進めています。
子どもたちが多様な事実をもとに語るのは,マイガーデンプロジェクトという3年生以上の全ての子が休校期間中から自宅で何かしらの植物を育てる取組を進めているからです。
まさにご家庭のご協力あってのことです。
ご家庭とも連携を図るため,日々の理科授業の様子を保護者向けに理科通信として発行することにしました。
別ブログにて閲覧可能としていますので,興味のあられる方は,以下のアドレスからアクセスください。
理科部 松山 明道
matsuyama-a@educ.kumamoto-u.ac.jp
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