見えないものを見える化する

公開日: 2020年6月24日水曜日

6月21日(日)は,熊本でも部分日食が見られました。日食特別号でもお知らせしたとおり,観察の際に用いる遮光版の貸し出しを行ったのですが学校にあったほぼすべての遮光版が出払ってしまうほど,1~6年生まで興味をもって観察してくれたようでうれしかったです。


子どもたちの日ごろの行いがいいのでしょう。1日曇り空で「今日は無理かな~」とあきらめムードの中,ちょうど16時ころに晴れ間が出てきました。早速遮光版で太陽の方に目を向けると,左下が欠けた太陽の姿が…。そんなに興味がなさそうだった妻も実際に見てみると,「すごっ!」と声を漏らしていました。遮光版とスマホを重ねてなんとか写真を撮り,Facebookでシェアしたら,北九州の先生から,「北九州からはこんな風に見えてますよ。」と写真をいただき,6年生の保護者の方からも写真を送っていただきました。5年生の保護者の方からは,わざわざ写真をプリントしていただき,今理科室前に掲示しています。見られなかった子どもたちも写真を通じて数年に一度の天体ショーを見ることができたのでした。私たちは多くの情報を視覚から得ているため,本物を見るというのは自然について深く考える上でとても重要なのだということを改めて感じたところでした。

 しかし,自然の中には目には見えない状態で存在しているものもあります。6年生は,5年生3月に学ぶはずだった「ものの溶け方」の学習に取り組んでいます。本来なら5年生で学ぶ内容ですが,4,5月とYouTubeなどで6年生の内容を先取りで学習していましたので,実験などもじっくりと取り組めます。理科でものが溶けているというのは,水に固体を入れて見えなくなった状態のことを言います。日常では「とける」という言葉を氷が解けたり,味噌をとかしたりといった状態変化や混ざる意味でも使うのですが,ここでは透明で見えなくなる状態になることと定義しています。

 この学習の肝は,見えないものを推論することです。水に食塩を入れると,透明になって見えなくなってしまいます。でも,なくなったわけではないのです。というのも,3年生の学習で物の出入りがない状況下では,物質の重さは変わらないという学習をしているからです。難しい言葉で言うと,質量保存です。では,水に溶けた食塩はどうなってしまったのでしょうか?6年生は,これらをモデル化しながら推論していきます。ある子は,次のような図をかいて,溶けている状態を説明してくれました。


黄色の□は食塩を表しています。〇は水の粒です。溶けて見えなくなるというのは,水の粒が食塩の粒を包んで覆い隠してしまう状態のことと説明してくれました。そして,食塩の粒の大きさとミョウバンなどの違う物質の粒の大きさが違うと考えて,覆い隠すための水の粒の数に違いが生じるから物質によって溶ける量に違いが出てくるのではないかという予想を立てていきました。このようなイメージをもって実験を行うのかどうかは,推論力を高める上で大きな差を生みます。この意見には,他クラスでは異論も出てとても面白い議論になりましたが,6年生は今週さらにいろんな実験を重ねて事実を集めているので,この考えがそれぞれどんな風に変わったり強化されたりしているのかとても楽しみです。
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