鳴らそう!フィルムケース電磁ブザー⑥
公開日: 2019年1月17日木曜日
2月8日(金)は,本校の研究発表会です。
子どもたちが自ら問題に挑む学びをぜひご覧下さい。
~~~フィルムケース電磁ブザー 第7時~~~
第5,6時で条件制御の考え方を働かせて追究を行っていた子を取り上げ,振り返りを全体に広げました。
特に,クリップの付け方と結果の記録について心がけるように伝え,全体で共有を図るためのグラフにシールを貼っていくことを指示して,それぞれのグループでの追究に進むようにしました。
SIくんとKMさんのペアは,前時で作成した電磁石をブザーのケースに付け,電源装置をつないで音が出るかどうか確かめるところから始めていました。
SI:乾電池1個分から始めるね。(導線を差し込んでみるが,音は鳴らない。)
KM :鳴ってる?
SI:鳴ってませんね。光は出てるんだけどな。
どうする?
巻き方?考えようぜ。もう一回,巻き直してみる?
(ブザーとして試したフィルムケースに入ったままの電磁石を電源装置に直接付けて,クリップを釣り上げる実験をする。)
SI:0.4mmのエナメル線の巻き方で,一部分に集中するってことでやろう。
(クリップで試してみる)
KM :ええ,そんなにくっつかない。
SI:乾電池1個分は,22個で乾電池2個分は,66個。増えてる。
ということは,巻き方を工夫しただけで,全体に巻いたやつは,
乾電池が1個の時は,13個で,乾電池2個分だと58個だった
けど,片方に寄せていくと22個と66個になった。
(2人でもう一度映像を見直す)
もう1回実験してみようよ。逆にコイルの巻き方で,コイルのない方は
どうなるんだろうね。
(乾電池1個と2個で試してみる。)
見た感じ明らかに減ってるよね。
乾電池1個では,17個。減ってるね。
KM:減ってる。
SI:乾電池2個では,54個だったね。
向きによって減るってことがわかって,
全体に巻いたのは13で,やっぱり巻き方で寄せた方がいいね。
じゃあさ,太さを0.6mmにして,片方に寄せたらさらに強くなるんじゃない?
やろうか。(0.6mmで実践していたコイルを巻き直す)
KM :よし,じゃあやってみようか。
SI :太さを0.6mmにして,端っこに集中して寄せてやってみよう。
乾電池1個でやると,めっちゃ減ってる。
47個だよ。
KM :え,乾電池1個で?
SI:均等に巻いた(0.6mm)やつより1個減ってるんだよ。
KM:え,減ってるの?ええ?なんで?
SIくんたちは,巻き方を片方に寄せて極の両側につくクリップの数を調べていました。
太さを0.6mmに太くして,巻き方を寄せればより強くなると考え,実験したのですが,
均等に巻いた時よりも寄せて巻いた方がクリップの数が1個減ってしまったところで本時を終えています。
子どもたちが共有のためにシールを貼ってきている共通グラフを見ても,
コイルの巻数,乾電池の数,エナメル線の太さについては,
増やせば増えるという結果は出てきています。(下図)
しかし,コイルの巻き方については,ばらつきがあります。
実際に音が鳴った条件を報告する模造紙にも,コイルの巻き方に関係がない
と考えている子どもたちの結果が見られるのです。
また,第5~7時の3時間で,子どもたちは強い電磁石を作るための条件を
追究することに終始し,電磁ブザーに生かすというゴールへの意識が薄れている
ところがありました。
第7時の終わりに,SMくんは「条件を調べることに夢中になってて,ブザーのこと忘れてた。」と振り返りで述べていました。
これらのことから,次時では,子どもたちの結果にズレがあるコイルの巻き方を
取り上げ,お互いの結果を共有するところから始めることします。
お互いの結果を出し合う中で,コイルの束を増やせば磁力が高まるという
量的な見方を働かせるためです。
子どもたちは,実験結果の共有を通して,コイルの巻き方は寄せた方が
いいと考察し,自分のブザーに取り入れていくと考えられます。
そして,本単元のゴールである「フィルムケース電磁ブザーの音をより
大きな音にするにはどうすればいいのか」について,これまでの学びを
生かして考えていくようにします。太いエナメル線で巻数を多くし,
片方に寄せた電磁石を作れば,ブザーが鳴ると考えるでしょう。
しかし,フィルムケース内にその条件では入らない事実に出合うはずです。
どうすればフィルムケースに入る中でより強い電磁石を作ることができるのか
考えていくようにしたいと思います。
理科部 松山 明道
matsuyama-a@educ.kumamoto-u.ac.jp
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